コトバ探求

毎日使う日本語が、あなたと誰かを繋いでる。 ほんのちょっとだけ丁寧に、言葉を選んで話しましょ?

アップデートとアップグレードはどう違うの?

2010年あたりからの短い間に、すっかりスマートフォンは生活になくてはならないものに変わってしまいました。

それに伴って、いろいろな言葉が日本語の仲間入りをしました。

 

スマートフォン以前にはパソコンを使う人だけが目にしていたコンピューター上のあれこれが、一般のすべての人が知るべき言葉になってしまったのです。

 

このブログでは、そんなコンピューター上のあれこれについても、日本語の仲間と考えて調べて整理しようと思っています。

 

今日はその第一回。少し気になったので「アップデート」と「アップグレード」の違いをしっかり調べておこうと思います。

 

いつも通り結論から。

「アップデート」はアプリの状態を最新の状態に追い付かせる作業のことです。

一方「アップグレード」はアプリの契約や機能を一段階上のものに切り替えることです。

 

さて、こんな外来語から始まる日本語の旅を今日も始めましょう。

 

  • アップデートは「日付の更新」
  • アップグレードは「等級の格上げ」
  • ダウンロードはダウンなのに新しくなる?
  • まとめ
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甲斐があるって何があるの?

「来た甲斐があった」とはよく言います。

でも「甲斐」っていったいなんなのでしょう?

 

甲斐、甲斐国……武田信玄……?

 

そう考えてみれば、「甲斐甲斐しい」「甲斐性」「不甲斐ない」なんて言葉もありますね。

えっ、不甲斐ない!? 「There is no Not甲斐」ってことですよね? じゃあ「甲斐」はあるの!?

……こんな複雑極まる表現、成り立ちを知らないままでは使えません。

 

いったい「甲斐」ってなんなのでしょうか?

 

  • 甲斐は国の名前
  • 「甲斐がある」:甲斐は「替ふ」の当て字
  • 「不甲斐ない」:言う甲斐なしの転
  • 甲斐甲斐しいの歴史は古い
  • 余談:責任と応答能力
  • まとめ

 

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赤の他人なんて真っ赤な嘘、とんだ赤っ恥だ!

なぜ嘘は赤いんでしょうね。

 

真っ赤な嘘はあっても真っ青な嘘はありません。

特定の世代にとってはなんと「誓い」も赤いらしいですよ。

 

それは冗談として、日本語は何かと赤色にしがちです。

赤の他人、赤っ恥、赤い糸、赤子(赤ん坊)

 

どうしてこうも赤いものばかりあるのでしょうか?

 

先に結論から話しておきましょう。

慣用句の赤はしばしば「明か(あか)」の転で、「あきらかな、まったくの」の意味を持ちます。

 

  • 「赤」は「明か(あか)」でもある
  • すべての「赤」が「明か」ではない
  • 他の言語では結びついていない
  • まとめ
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なるだけ? なるたけ? 身のたけ、思いのたけ、首ったけ、ありったけ

「みなさん、なるだけ離れないようについてきてください」

 

久しぶりにきましたね、ストップです。

案内の人は進んでしまいますけど、わたしは気になったことを調べないと我慢できません。

 

わたしだったら、「なるだけ離れないように」とは言いません。

「なる『た』け離れないように」と言います。

 

さて、どちらが正しいのでしょうか?

 

今日も今日とて結論から。

正しい日本語は「なるたけ」です。しかし「なるだけ」も誤用と排除はできません。

今日はこの機会に、いろんな「たけ」を調べてみました。

 

  • 「なるだけ」は間違い?
  • なるたけの「たけ」は丈
  • 「たけ」を使った他の表現
    • 首ったけ
    • 思いのたけ
    • ありったけ
    • 居丈高
  • まとめ
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「進化」という言葉のゆるやかな進化のはなし

商品のキャッチコピーを作るのはたいへんな作業なんでしょうね。

他社の商品よりも飛び抜けて優れていることを伝えたいために、いろいろな表現が使われてきました。

 

新時代の〜、次世代の〜、進化した〜、未来の〜

 

一時期はなんでも「i」をつけてみたり、また時間が経てば「e」の方が流行ったり、とりあえず「2.0」と言ってみるなんてことも横行したものです。いやはや懐かしや……

 

今日はそんな中でも根強い人気のある「進化」という表現についてお話しします。

 

何を隠そう「進化した」という言葉には、良い評価も悪い評価も含まれていません。

「進化していれば優れている」そう思ってしまっていませんでしたか?

 

  • 進化の対義語は?
  • evolutionの由来
  • 「開き出すこと」が「進化」になった理由
  • 進化論の進化と「開き出す」進化
  • 退化は進化の一種で対義語ではない
  • まとめ
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アジェンダと議題を使い分ければ、もっと高みにいけますか?

「はい、では始めますね。本日のアジェンダですが……」

ごめんなさい、ずっとなんとなく使ってました。もちろん「議題」という意味は知っています。

でもほとんどの言葉がそうですけど、本当に言葉の意味や成り立ちを知って「使い分け」していたわけではないんです。

 

今日はこのブログのコンセプト通り、少しだけ丁寧に言葉を選んで話せるように、アジェンダという言葉について調べてみます。

 

とはいえ今日も結論から。

アジェンダは「取り組むべきもの」を語源とした言葉です。

「議題」以外のものでも「行動計画」や「取り組むべき課題」といったニュアンスで使えます。

一方「議題」は「話し合う題目」を直接意味するので、やはり会議には最適な表現です。

 

より詳しくこの言葉のことを知ってみましょう。

 

  • アジェンダの成り立ち
  • つまり議題の方が具体的で正確です
  • 完璧に使い分けて見せます
  • アジェンダという表現が持つ魅力
  • まとめ
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のべつまくなしって、何がないの?

実はわたし、ひどいおしゃべりです。

話を聞いてくれる人を見つけるとしゃべり続けてしまいます。

それで話しすぎたなと思うと、よく自分で言うんです。

 

「こんな“のべつまくなし”に捲し立てるようにしゃべってしまって……」

 

……じゃあ“のべつまく”があるってどういう状態なんでしょう?

 

先に結論を書いておきましょう。

「のべつまく」なんてありません。

「のべつまくなし」は「のべつ」と「幕なし」という二つの言葉からできています。

「のべつ」= 絶え間なく

「幕なし」= 舞台で幕が降りる場面転換のようなタイミングがない様子

 

これで解決しましたね。

……まだ気になることがありますか?

 

  • のべつ と まく は別のもの
  • のべつまくなしの文法的解釈
    • 延べは延ぶの連用形?
    • 接続助詞の「つ」?
  • まとめ

 

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